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財政赤字はどこまでもつのか?

財政赤字が1000兆円を超えたという報道をよく耳にします。このまま行くとどんどん負債が増え続けて破産するのではないかと機具されています。

借金をするときには2つのことを考えるかと思います。まず、総額がいくらなのか?ということと、月々いくら払うのか?ということです。この2つが許容範囲であればクレジットカードを使った買物に踏み切ることができます。では、破産するのはどういうときでしょうか?月々の支払いが滞ったときです。総額が小さくても月々の支払いが滞れば破産しますし、総額が大きくても月々の支払いが順調であれば破産はしません。

個人には寿命があります。一般的なサラリーマンが1億の家を買えないのは、一生のうちに稼ぎだす所得に限界があるためです。しかし、企業や政府には寿命はありません。そのため、問題になるのは月々の返済ができるかどうか?という点になります。言い換えると、企業や政府は月々に支払う能力があると銀行が判断すれば、いくらでも借金ができるのです。

また、個人が借金をする場合は定年に向けて徐々に総額が減り続けますが、企業や政府の場合は必ずしも減る訳ではありません。ここが個人の感覚と違って理解に苦しむところですが、むしろ、企業や政府は時間が経つにつれて借金の総額は増え続けます。特に成長している企業は大きくなればなるほど、借金の額も大きくなっていきます。トヨタは2兆円の純利益をあげて、株式の時価総額も従業員数も販売台数も過去最大になっていますが、借金も創業以来最高額になってるのです。ちなみに2015年現在で18兆円もの負債があります。

財政赤字の問題は返済期日までに払っていけるかどうか?というところがポイントになります。また、政府には日本銀行があるので通貨を発行して返済に充てることが可能です。

お金を発行しているのは日本銀行です。お金の発行を許可しているのが政府ですから、政府が発行しているのと同じことになります。政府は税金を徴収する権利と通貨発行権を持っていますので、そもそも月々の返済に行き詰まるということは、以上の理屈から言えば考えにくいことになります。

ギリシャは財政破綻をしました。期日までに借金を返済できずに、ヘアカットといって借金の棒引きをしてもらいました。これはギリシャ政府が通貨発行権を持っていないことに原因があります。ギリシャはユーロを導入していますが、ユーロを発行することはできません。ユーロはドイツにあるヨーロッパ中央銀行が通貨発行権をもっているからです。

また、お金を借りすぎてもう借りるだけのお金が残っていないのではないか?という心配もあります。下の表は2014年12月現在の国債の保有内訳で、政府がどこからお金を借りたかを示す物です。


国内の金融機関というのは銀行や生命保険のことで、国民の預金や掛け金から出たお金です。全体の9割以上が国内で借りられたものです。国は借りたお金を医療費や公務員給与といった形で国内で遣いますので、公務員や医療関係者は所得を再び銀行へ預けます。銀行に戻ったお金は再び貸し出されるのを待つことになります。

つまり、いくら金融機関から借りて遣っても、お金がなくなることはありません。銀行からお金を借りて遣うと、再びそのお金は銀行に舞い戻る仕組みになっているからです。

通貨発行権や徴税権によって日本政府の返済能力に疑問の余地はありません。ただ、注意をしないといけないのは、政府が浪費をするとインフレになる場合があるということです。一つの例が戦争です。戦争は大量に物資を消費するので国内が供給不足に陥ります。徴兵などで働き盛りの人が戦場へ行ってしまうと国内の生産が落ちます。また、空爆による工場やインフラの破壊などでより一層、物不足が深刻になると徐々に物価は上がり始めます。

西南戦争のときに明治政府は軍費としてお金を発行しすぎてインフレになりました。このときの教訓から、通貨発行を独立した機関である日本銀行に任せることにしました。

ただ、今の予算の10倍くらい遣わないと、戦時中と同じくらいの支出にはならないので、それほどインフレの心配はありません。また、戦争では国内が空爆などで生産設備が破壊されるなどの、極端な生産力の低下も同時に起こった上での話なので、かなり特殊な状況です。むしろ、今は物価が上がらずに政府や日銀は苦労しているので、少しくらい支出を拡大したほうがいいかもしれません。

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